外国の方々にとって日本での生活は文化や言語、生活様式など乗り越えなければならない多くの壁があります。
新しい文化、言語、そして生活様式に適応することは簡単ではありません。
ただ、周囲のサポートを得ながら、一つ一つ問題に対処すれば、日本での生活はより快適で充実したものになります。
そこでこの記事では、外国人が日本に住む際の一般的な困りごとに焦点を当て、それぞれの問題への対処法も紹介したいと思います。
Contents
◉【1】言葉が通じないこと
外国人が日本に住む際に直面する最も一般的な困り事といえば、言葉の壁です。
日本語は独特の文法構造と複雑な文字体系(ひらがな、カタカナ、漢字)を持っており、コミュニケーションの障害となりがちです。
日常生活での簡単な会話や、公的機関での手続き、医療機関での相談や仕事探しに至るまで、言葉による壁は外国人居住者の生活に制限をかける原因となることがあります。
言語の壁を越えるための対処法として以下の方法はどうでしょうか。
・日本語学習の強化:オンライン学習、アプリの利用日本語学校などへの通学
・言語交換パートナーの活用:日本人との言語交換を通じて、実践的な会話能力を高め、日本の文化や習慣を学ぶ ・翻訳アプリの利用:緊急時や日常生活での一時的で簡単なコミュニケーションに活用する ・通訳サービスの利用:公的機関での手続きや医療機関での相談などの局面におけるプロの通訳サービスを利用する ・日本語サポートが充実した場所での生活:日本語サポートサービスが充実している地域や施設に住む(例:多文化共生センターや国際交流センターなどのある地域) |
◉【2】知人や友人がいないこと
外国人が日本に住む際、知人や友人がいないことも困りごとの一つです。
新しい環境での孤立感は、精神的なストレスにつながりかねません。
そこで、もし知人や友人が周りにいない場合、以下の方法を試してみてください。
・言語交換イベントへの参加:言語交換イベントや国際交流会に出席すると、関心事が共通した相手を探しやすいです。
・趣味のクラブやサークルに加入:スポーツ、読書、写真など自分の趣味や興味に合ったクラブやサークルに参加し、つながりをつくる。 ・SNSやアプリを利用:FacebookやMeetup、TinderやBumbleのようなソーシャルネットワーキングサービスを活用して、イベントや集まりに参加する。 ・日本語学校やコミュニティセンターでの活動に参加:「日本語学校」や「地域コミュニティセンター」で外国人向けに開催されるイベントやクラスに参加することで人脈の強化だけでなく生活に役立つ情報を得ることができます。 ・ボランティア活動に参加:地域社会に貢献しながら新しい出会い、地域の 方との交流を図れます。 |
◉【3】物価が高いこと
住居費用や日用品、食料品の価格が自国と比較して高いと感じる外国人は多いです。
こうした物価の高さは、日本での生活費をはじめるにあたり、予想以上の負担となることがあります。
物価の高さが負担になっている場合は、以下の対処法を参考にしてみてください。
・生活費の計画を立てる:日本での生活を始める前に、必要な生活費のリストを作成し、予算を見積もる。
・節約をする:100円ショップや割引きセール、クーポンを活用する ・食費を抑える:外食を控え、自炊を心がけ、地元の市場やスーパーで新鮮かつ安価な食材を買う ・シェアハウスやゲストハウスを利用する:光熱費やインターネット料金が共益費に含まれたシェアハウスやゲストハウスの利用により住居の初期費用を抑える ・中古品を活用する:新品を購入する代わりに、中古品の家具や家電を購入する |
◉【4】税金や医療保険制度の仕組みが難しいこと
外国人が日本に住む際、税金や医療保険制度の独特な複雑さは壁となりがちです。
日本特有の税制や保険システムは、日本人にとっても理解しにくいものです。
住民税や国民健康保険など、自国とは異なる制度に戸惑うことが多いので税制などについて困ったときは、以下の対処法を検討してみてください。
・情報収集:自治体のウェブサイトや、日本に住む外国人向けの情報サイトを利用して、日本の税金や医療保険制度について基本的な情報を収集する
・相談窓口の活用:税金や保険に関する疑問や不安を解消するために、多くの自治体で用意している「外国語での相談サービス」を利用する ・日本語学習:日本語の学習を続け、専門用語の理解を深め、税金や医療保険に関する専門的な文書を読み理解する ・地域のサポートグループに参加:同じような悩みを持つ外国人や、日本の制度に詳しい人々とのネットワークを築き、有益な情報やアドバイスを相互提供する |
◉【5】Wi-Fi環境が悪いこと
外国人が日本に住む際、Wi-Fi環境の悪さは予想外の困りごととなることがあります。
特に、観光地や都市部以外では、公共のWi-Fiスポットが少なかったり、信号が不安定であったりします。
また、自宅でのインターネット環境が想定よりも悪い場合もあります。
そこでWi-Fi環境の悪さを改善するには、以下の方法を試してみることをおすすめします。
・ポケットWi-Fiのレンタル:日本滞在中、ポケットWi-Fiをレンタルする
・モバイルデータプランの活用:日本での長期滞在を予定している場合、外国人向けのプランなどがあるモバイルデータプランを検討する ・公共Wi-Fiスポットの利用:日本国内で無料Wi-Fiを提供しているカフェや図書館、ショッピングモールなどを利用する ・Wi-Fiエンハンサーの導入:自宅でのWi-Fi信号が弱い場合、信号の範囲拡大に寄与するWi-Fiエンハンサーやリピーターを導入する |
◉【6】自動車運転免許を取得して運転すること
自動車運転免許を取得して車を運転できれば、生活の利便性も向上します。
しかし、日本の運転免許制度や交通ルールの違いや言語の壁により、運転免許を取得するのが難しいと感じる方も多いです。
そこで、日本で自動車運転免許を取得したいときには以下の方法も知っておくと便利かもしれません。
・外国語対応の教習所に通う
・外国語で本免許試験を受けられる試験場を探しておく |
近年では、外国語に対応している教習所が増えています。
なぜなら、日本の総人口における外国人の割合は年々上昇しており、それに伴って教習所の
需要も増えているからです。
外国語に対応している教習所では、外国語の教科書を購入できたり、外国語を話せる教官が在籍していたりと、様々な対応がなされています。
また、特定の試験場では外国語で本免許試験を受けることが可能です。
試験場によって対応している言語が異なるため、事前に各地域の警察署のHPなどで確認することをおすすめします。
◉【7】日本語以外の言語で診療を受けられる病院が少ないこと
外国人が日本に住む際、特に医療に関する言語の壁は重大な問題となります。
なぜなら、日本語以外の言語で診療を受けられる病院やクリニックが少ないからです。
もし、日本で病院の診察を受けたい場合は、以下の方法を検討してください。
・多言語対応の医療機関を事前に調査する:インターネットや地域の国際交流センターなどを利用して、居住地近くの多言語対応医療機関を事前に調査し、リストアップする
・医療通訳サービスの利用:一部の自治体やNPO法人で提供される、外国人向け無料・低コスト医療通訳サービスを利用する ・医療情報の多言語化アプリの活用:症状や必要な医療行為を医師に伝えるためスマートフォン用のアプリを利用する ・健康保険証や病歴を英語で準備する:緊急時に備えて、健康保険証や病歴、アレルギー情報などを英語で記載したカードを携帯する |
適切な準備と情報収集を行い、スムーズに医療サービスを受けられるようにしておきましょう。
◉【8】多言語表示が少ないこと
外国人が日本に住む際、公共の場所やサービスにおける「多言語表示」が少ないと、日常生活に支障をきたすこともあります。
案内看板、メニュー、公共交通機関の情報など、基本的な情報が日本語のみで提供されている場合が多いので
多言語表示が少ないときには以下の対処法はいかがでしょうか。
・多言語対応アプリの活用:Google翻訳やMicrosoft Translatorなど翻訳アプリや多言語対応のナビゲーションアプリを活用する(写真を撮影するだけで翻訳が使えるアプリもある)
・多言語情報提供サイトの利用:日本政府観光局(JNTO)や地方自治体が運営する多言語対応の観光情報サイトを活用する ・地域の国際交流センターの利用:多言語での情報提供や相談支援を行う国際交流センターや外国人支援センターを利用する ・SNSやコミュニティの活用:FacebookやTwitterなどのSNSに存在する日本在住の外国人向けのグループやコミュニティを利用する |
◉【9】遊びの場所や趣味を楽しむ場所が少ないこと
外国人が日本に住む際に直面する一つの課題は、「自分の趣味や、興味に合った遊びの場所や活動を見つけることが難しい」という点です。
特に、言語の壁や文化の違いにより、趣味のコミュニティに参加することや、自分に合ったレクリエーションを見つけることが難しいこともあります。
そこで以下の工夫をしてみることをおすすめします!
・多言語対応の情報サイトを活用する
・国際交流イベントに参加する ・SNSやオンラインコミュニティを利用する ・地元のコミュニティセンターを利用する |
◉【10】食文化が違うこと
外国人が日本に住む際、食文化に戸惑うこともありますよね。
日本独特の食材や調理法、食事のマナーなど、慣れないことは多いものです。
特に長期滞在の場合は自国の味が恋しくなることもあります。
また、特定の食事制限やアレルギーを持つ外国の方々にとって、適切な食事を見つけることはさらに難しくなります。
そこで、日本の食文化について困ったことがあった場合に下記の対処法はいかがでしょうか。
・多国籍料理を提供するレストランやカフェを利用する:自国の味を楽しみたい時や、食文化の違いに戸惑う時は多様な国際料理を提供する飲食店を利用する
・外国人向けの料理教室に参加する:日本料理の基本から学び、慣れることができるだけでなく、他の外国人と交流する機会にもなる ・スーパーマーケットでの買い物を楽しむ:国際的な食材が豊富に揃っている日本のスーパーマーケットを利用する ・外国語に対応している食材配達サービスを利用する: 日本語が苦手な外国人でも簡単に利用できる、多言語対応の食材配達サービスを利用する |
◉【11】公共交通機関の路線図や乗り方を理解すること
日本の公共交通機関は世界でもトップクラスの密度と正確性があります。
しかし、複雑な路線図や乗り方は外国人にとって慣れることが難しい部分でもあります。
特に、日本語のみで表示される路線図や案内が多いため、初めて日本を訪れる外国人にとっては、移動手段を把握し、利用することが難しい場合もあります。
そこで、公共交通機関で困ったときは以下の方法で対処してみましょう。
・多言語対応アプリの利用:路線図の閲覧や乗り換え案内、料金計算などをサポートするナビゲーションアプリの利用する
・事前の情報収集:訪れる予定の地域や路線について、事前にインターネットでチケットの取得方法など情報を収集する ・駅員や地元の人への質問:分からないことがあれば、駅員や地元の人に質問する |
◉【12】公共マナーが分かりにくいこと
日本独特の公共マナーは、外国人にとって理解しにくいものです。
例えば、電車内における大声での会話や携帯電話の使用を控えるなど、他国とは異なるマナーが存在します。
これらのマナーを知らずに行動すると、周囲の人々に不快感を与えることになりかねません。
そこで、公共マナーについて学びたい場合は以下の方法を取りましょう。
・公共マナーに関する参考書を見る:多言語のガイドブックやウェブサイトを取得・閲覧し、日本の公共マナーについて学ぶ
・地元の人の行動を観察:公共の場・公共交通機関での地元の人々の行動を観察する ・言語交換やカルチャー交流の機会を利用する:日本人の友人を作る機会を得る |
◉【13】各種手続きが複雑なこと
日本での生活を始めるにあたり、住民登録や銀行口座の開設など、多くの手続きが必要です。
各手続きは、言葉の壁だけでなく、複雑なシステムや必要書類が多いことから、外国人にとって大きな障壁となります。
各種手続きを円滑に進める対処法は、各種手続きの前に、市区町村の国際交流センターや外国人支援センターで情報を収集し、必要な書類や手続きの流れを確認しておくことなどです。
また、日本語が不安な場合は、通訳サービスを利用するか、日本語を話せる友人に同行を依頼しましょう。
◉【14】曖昧な言語表現があること
日本語には、曖昧な表現が多く存在します。
曖昧な表現とは、日本の文化や独特なコミュニケーション方法に根ざしており、直接的な表現を避ける傾向があります。
外国人にとっては、このような曖昧な表現を理解することが困難であり、誤解を招く原因となることがあります。
曖昧な表現に対する対処法は、日本語を学習する際に、言語だけでなく文化やコミュニケーションスタイルにも注意を払って学んでみることです。
他にも、日本人の友人との交流を深めることで、日常会話の中での曖昧な表現を学ぶ機会が得られます。
不明点があれば、遠慮せずに質問しましょう。
◉【15】在留資格の取得が難しいこと
日本で働くためには、適切な在留資格の取得が必要です。
しかし、在留資格の種類は多岐にわたり、申請プロセスも複雑です。
在留資格の取得に関して大切なことは、事前の入念な準備です。
希望する在留資格があれば条件を理解し、必要な書類を揃えましょう。
また、不安や疑問がある場合は、専門の行政書士や法律事務所に相談するのがおすすめです。
士業など専門家は、在留資格の申請プロセスに精通しており、適切なアドバイスを提供します。
◉周囲の力を借りてひとつずつ対処していこう!
今回は、外国人が日本に住む際に困ることについてさまざまな対処法をご紹介しました。
日本での生活は、外国人にとって挑戦の連続となります。
言葉の壁、社会的な孤立、生活コストの高さ、複雑な行政手続き、文化的な違いなど、一見すると乗り越えがたい壁ですが
適切に周囲の力を借りれば、ひとつずつ対処していくことが可能です。
外国人コミュニティや日本人の友人、地域の機関など、利用可能な支援を活用し、日本での新しい生活を楽しみましょう。